回心誌

世の中わがんね

映画『Fake』に騙された話

佐村河内守を撮ったドキュメンタリー映画『Fake』を観た。

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監督は『A』『A2』の森達也

この2作はサリン事件後のオウムを撮ったドキュメンタリー映画で、私は大学にいたころ観て衝撃を受けた。

 

それはともかく、『Fake』には騙された。

タイトルからしてこんな見え見えの罠に引っかかる方がアホなんだが、つまり私もまたアホだったということだ。

 

多少のネタバレを含むが、次の記事が解説として手っ取り早い。ただし、ネタバレを含むので要注意。

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要するに、佐村河内はあの騒動の後も一部嘘を認め反省を口に出しつつ、一方で嘘をつき続けているのである。

 

 

私はというと、佐村河内騒動にはさして興味もなく、だからこそ先入観なく佐村河内本人を評価できると考えていた。

 

映画の最初のポイントは、佐村河内の聴覚だ。

冒頭(確かマスコミの報道をテレビで鑑賞していた時だったと思うが)、佐村河内は森達也にABRという科学的な聴覚検査の結果報告を見せる。なんでも、脳波の反応を見るため、自分の意思では結果を操作することはできないんだとか。

 

この報告結果はマスコミ向けの記者会見でも配布してある。にも関わらずマスコミはそこには触れず、佐村河内を嘘つきと批判し笑い者にする。

 

佐村河内はこれに対して、確かに「共作」を公表してこなかったのは私が悪いが、聴覚についてまで嘘つき扱いするのはおかしいと憤っていた。

 

私はというと、すっかり乗せられてしまっていた。マスコミけしからん!と。

私がどう騙されたのかは先の記事を読んでもらおう。

ともかく自分がいかに騙されやすいのかを知ることができたのは良い体験だった。 

 

いや、それでもマスコミは酷いと言えば酷い。視聴者が食いつけば何でもいいのだろう、という森の指摘は多分正しい。

 

ところで問題のラストのオチについてだが、あれも森達也がけしかけている。それも、とても臭いセリフで。

 

森はもちろん先ほどの記事で書かれているような佐村河内の人格には気づいているはずだ。にも関わらず、佐村河内の空気に乗って、あまつさえけしかけてすらいる。

 

最後のシーンのために森が演技した、という見方もできるが、森の今までの著作になぞらえるなら、あれは佐村河内家の空気の中で、いわば時空にのまれるような形で生まれた言葉なんだろう。少なくともそう見えて欲しかったんじゃないか。*1

 

けしかけるシーンを編集でカットして、佐村河内自身が自発的にラストのシーンにつながる行為を行ったように見せることもできたはずだ。しかし、そうはせず、佐村河内、森、そして佐村河内の妻らによる共作とも言えるようなラストになっている。やはりそこに森なりの意図があったのではないか。

 

 

 

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*1:森は麻原彰晃に迫ったルポ『A3』の中で、麻原が周りの信者を操っていたという見方に疑問を呈し、むしろ信者との間で空気が醸成されていったのではないかと書いている