回心誌

世の中わがんね

 【夏の一人映画祭】『ディア・ドクター』

『ゆれる』に続き西川美和監督作品『ディア・ドクター』

ご査収ください。ネタバレあり。





















鶴瓶演じる無免許医が無医村で村医者として活躍し、しかしある事件をきっかけに無免許ということが明るみになりつつあり、抜け出すというストーリー。鶴瓶ってのが最高にいいね。特に私はたまにNHK「家族に乾杯」を見ることがあるので、鶴瓶の愛され力というか、村人に信頼されている様子に説得力ある。

無免許医ということが発覚してから(主に二人の刑事の視点)と、発覚する前(主に研修医の視点)とが交互に語られる。鑑賞者は開始後ある程度の時点で鶴瓶が無免許であることを知った状態で鶴瓶の医師としての活動を目撃することになる。すなわち、鶴瓶の孤独や焦りを共有することになる。


印象的なシーンとして、刑事が香川照之演じるMR(薬品の営業職)に聞き込みを行っているシーン。鶴瓶演じる無免許医、伊野の動機について、刑事は「金か名誉か……それとも愛だって言うんですかね?」*1と斜に構えた風に言う。すると香川照之は椅子から転げ落ちそうになる。刑事は思わず手を伸ばす。すると香川はこう言う。「今、僕のこと助けようとしましたよね。でも刑事さん、僕のこと愛してます?愛してはないですよね。……ま、そういうことじゃないですか?」


行動の動機なんて、本人にだって分からないことが多い。でも外から見たらきっと単純化されてしまう。

この無医村事件もきっと、外に報道されるときにはずっと単純化されてしまうんだろうなあ。無免許なのに医師をかたったの動機は金のため、ということになるだろうし、騙された村民は見抜けなかった愚かな被害者ってことになるんだろう。それはそれで多分間違いじゃないんだろうけど、それほど単純じゃあない。

そんなことは現実でも珍しくないんだろう。


最後に、病室で退屈する胃癌のおばあちゃんのもとに、鶴瓶が訪れ笑顔を見せる。おばあちゃんも笑顔になったし、観ていた私も嬉しくなった。と同時に、嬉しくなるのが不思議で……。なんなんだろう。とにかく不思議な感動だった。


ディア・ドクター [DVD]

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ディア・ドクター×西川美和

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*1:記憶に頼って書いているので実際のセリフは多分これとは違う