回心誌

世の中わがんね

映画『コロニア』

colonia.jp

スリリングなストーリー展開も良く、お話としてよくできている。

そして、これが実話であることが重要。

bylines.news.yahoo.co.jp

チリで映画が公開されて2週間くらいの頃、私はチリで「コロニア」での拷問を生き延びた人たちと一緒にいたのですが、映画を見た彼ら全員が口をそろえてこう言いました。「本当に正確に描かれていたよ。まあ事実はもっとひどいけど」。その実態はあまりの恐ろしく暴力的なので、正確に描けばおそらく誰も映画を見てはくれないと思います。
ただし内部の生活の模様や人々の関係、行われていた出来事などは、すべてが取材に基づいた真実です。シェーファーが死人を蘇らせようとする儀式すら、生存者の証言をドキュメンタリー的に再現したものです。

映画では描かれていないが、施設の長であるシェーファーは元ナチ党員であったことも知られている。ナチの残党が南米に逃れた例はほかにもあるようだ。

また、クーデターの政治的背景についてもほとんど描かれていない。1973年9月11日、チリのサンディエゴでクーデターが発生し、社会主義者アジェンデの政権が倒され、ピノチェト将軍が政権を握った。このクーデターにはアメリカCIAが関与している。

冷戦下のアメリカは共産主義勢力の拡大を恐れており、各国で反共的な指導者を支援してきた。日本でも岸信介吉田茂がCIAの影響かにあったことが知られている。幸いなことに日本は一定の民主主義は守られていたわけだが、それができなかった国も少なくない。

例えばインドネシアでは多数の共産主義者、組合員や中国人、その他の無関係な人が虐殺されている。虐殺を実行したのはチンピラ集団であったが、彼らは今もインドネシアで英雄として暮らしている。その様子はドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』に映し出されている。この虐殺のきっかけとなったクーデターも、アメリカの支援によるものだという説がある。少なくとも、これらの虐殺行為を西側諸国はほとんど黙認していた*1

ベトナム戦争も、そもそもはアメリカの支援を受けたゴ・ディン・ジエムが弾圧と独裁で人々を苦しめていたことに原因がある。エジプトのムバラクも西側諸国の支援と黙認がなければここまで独裁が長続きすることはなかっただろう。

もちろん、共産主義国が独裁と圧政で民衆を苦しめてきた例も少なくない。毛沢東ポル・ポトのせいで気の遠くなるほど多くの人が犠牲となった。


ソ連崩壊、冷戦終結に前後して、チリも民主化への道を歩んでいった。その後しばらくしてコロニアの長シェーファーが逮捕・起訴され、その負の歴史が明るみになった。


このおぞましい施設が30年近くに渡って存続してこられたのは、独裁政権と結託していたからである。民主主義は暗がりを照らす明かりだと、改めて感じた。



覇権か、生存か―アメリカの世界戦略と人類の未来 (集英社新書)

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