昨日・今日で映画6本見た。
24時間見放題という契約で動画サイトを利用しているため、休みに一気に見たというわけ。
- ビューティフル・マインド
- ミリオンダラー・ベイビー
- 舟を編む
- ルーパー
- ゆれる
- ディア・ドクター
とりあえず、ビューティフル・マインドから感想を。
なお、ネタバレを含みます。
(主に)前世紀に活躍した実在の数学者ジョン・ナッシュをラッセル・クロウが演じる。ジョン・ナッシュといえば「ナッシュ均衡」が有名で、ノーベル経済学賞の受賞理由もそれである。映画で語られる彼の功績も主にナッシュ均衡に関するものだ。*1
さて、数学者の伝記映画といえば、ベネディクト・カンバーバッチがアラン・チューリングを演じた『イミテーション・ゲーム』がある。去年のアカデミー賞脚本賞受賞作であり、間違いなく名作である。アラン・チューリングも数学者で、映画内で大戦中イギリス軍に協力し、ドイツの暗号を解読する。
『ビューティフル・マインド』と『イミテーション・ゲーム』は対照的な映画で、見比べると面白い。描かれる二人の天才は、いずれも高い専門性を持つが対人能力に難がある。そして(少なくとも序盤においては)両者とも軍の命令を受けて働いている。
ところが『ビューティフル・マインド』は中盤でナッシュの受けていた軍の命令は全て彼の幻覚、妄想であることが明らかになる。ナッシュは統合失調症と診断され、ショック療法、投薬といった治療を受ける。伝記映画であるという性質上、映画を観る前から知っていた人もいるだろうと思うが、これにはすっかり騙された。『ビューティフル・マインド』より『イミテーション・ゲーム』のほうを先に観ていたので……。
『イミテーション・ゲーム』の基本的な主題は最後まで暗号解読であり続けたが、一方で『ビューティフル・マインド』のストーリーの軸は中盤以降、ナッシュの幻覚、妄想との闘いとそれを支える妻の献身的な愛情に移る。
特に印象深かったのは、学生時代ルームメイトだった親友が妄想だったというくだり。実はこれは映画上のフィクションで、実際にナッシュが統合失調症に陥ったのは就職後だったという。そこにこの映画で強調したかったテーマがありそうだ。
Imagine...
if you had suddenly learned that the people and the places...
and the moments most important to you...
were not gone, not dead,
but worse-
had never been.
What kind of hell would that be?(拙訳)
想像してもみたまえ。
もしある時突然、あなたにとって一番大切な
人々、場所、瞬間が、去ってしまったり、死んでしまったのでなく、
むしろ、ただ最初から無かったのだと知ってしまったとしたら。
それは一体どれほどの地獄だろうか。
これは胡蝶の夢(映画でいえば『インセプション』)みたいな話でもあるんだが、単にナッシュの功績を讃えるだけでなく、統合失調症の苦しみを観客に共有させたというところにこの映画の凄さがあるように思った。
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